国産B型肝炎ワクチン3回接種したけど、なぜ、抗体価が上がらないの?

以下は、名鉄病院予防接種センターの宮津光伸先生の作成された書面からの引用です。当院では、下記に記載されている輸入AB肝炎ワクチン(Twinrix Adult)を常備しています。

一般に、B 型肝炎ワクチンは、10歳以下の小児、特に3歳未満では3回打ってほぼ100%免 疫ができますが、20歳以上では年齢が上がるにつれて免疫ができにくくなります。3回 接種後の陽転率は、20~30歳代で 85%、50 歳以上では 60~70%と低率です。こ れは必要な抗体価の 70%の免疫ができているということではありません。30%の人は必要な免疫が全くできていないということです。つまり感染機会があると予防することがで きません。B 型肝炎の感染リスクは国内では、医療関係者や、B 型肝炎のキャリアー周辺 の人や一部の特殊な職業人、激しいスポーツ選手などですが、海外へ出ると特にアジア・ アフリカなどの途上国では周囲の 30-50%はキャリアー、それに準ずるリスクを有しているとされています。ですからきちんと免疫ができていることを確認することが大切です。

3回終了後1か月ほど開けてから検査できればいいですが、一時帰国で追加することがほ とんどですから1か月後にはまた渡航しています。そのために3回目を打ちに来た日のデ ータを参考にしています。つまり B 型肝炎2回までのデータ(CLIA 法)で、3回目接種時の数値が2.0以上あれば、その3回目の追加でほぼ100%陽転すると考えています。 B 型肝炎の CLIA 法は 10.0 以上で陽性です。低値ならば次回の帰国時に再検査して、4回目を追 加してください。それまでは十分に注意ください。

最近は Twinrix(GSK)という輸入の A 型肝炎・B 型肝炎混合ワクチンを使う機会が多くなっています。この B 型肝炎は 2 回で 約 80%、3 回で 98%の陽転率です。2回で行かなければいけない人には有利なワクチン です。 海外で感染する B 型肝炎は、遺伝子型「A」が中心です。これは比較的慢性化し易く(約 10%)、将来数十年後に肝硬変から肝癌への移行が危惧されています。日本やアジア人で の古来の B 型肝炎は、多くは遺伝子型「C」と「B」ですが、国内でも最近は「A」が増え てきているので注意が必要です。日本で入手できる B 型肝炎ワクチンは、国産のビームゲ ンは「C」、米国製の MSD のヘプタバックスⅡは「A」です。一般的には3回とも同じワ クチンで打つのが原則ですが、互換性に特に問題はありません。どちらで打ち始めてもい いですし、3回目を海外で打っても構いません。接種記録と免疫確認が大切です。