男性更年期障害(LOH症候群)

いわゆる男性更年期と呼ばれていますが、本体は低テストロン状態です。一般に、遊離テストステロンを測定しますが、午前中に採血します。
病名はLOH症候群(late onset hypogonadism syndrome)と分類されています。

1)精神・心理症状 : 落胆、うつ、苛立ち、不安、神経過敏、生気消失、疲労感
2)身体症状 : 関節・筋肉関連症状、発汗、ほてり、睡眠障害、記憶・集中力低下、肉体的消耗感
3)性機能関連症状 : 性欲低下、勃起障害、射精感の消失

女性では、閉経に伴い急激に女性ホルモンが低下するのが原因に対し、男性では通常、30歳ごろから徐々にアンドロゲンが低下し、その下がり方が大きいと症状がでると言われている。なぜ、通常より低下が著しいのかは医学的には証明困難であるが、職場の人間関係やリストラ、住宅ローン、教育費、介護など、さまざまな要因、ストレスが影響していると考えられている。
(独立行政法人 国立病院機構 京都医療センターホームページより一部抜粋)

近年、女性の更年期症状については広く知られるようになりましたが、男性更年期については、まだ周知されていません。

治療法

原則として、ホルモン補充療法となりますが、国内で保険適応となるものはテストステロンの注射製剤になります。

通常、2週間おきに、エナモンデポー125~250mgを筋肉注射することになります。

効果

筋肉量、筋力、骨密度、血清脂質プロフィール、インスリン感受性、気分及び性欲、健康感の改善がみられる。勃起不全に対しては、PDE5阻害薬の作用を増強する。インスリン抵抗性の強い2型糖尿病の血糖コントロールも改善すると予想されますが、当院では糖尿病が顕在化した例もあります。

注意点

ARTにより前立腺癌が生じることは少ないとされている。しかし、低テストステロン状態そのものが悪性度の高い前立腺癌を発生しやすいとされており、治療の手引きにはPSA 2.0ng/ml以上場合、除外診断のため、泌尿器科へ紹介することを勧めています。