今年の新型コロナワクチンどれを選択するのか?

現在、世界では新型コロナのXFGとNB.1.8.1が中心に流行しており、日本を含む西太平洋地域では、特にNB.1.8.1が重要な流行株になっています。一方、BA.3.2という別系統の変異株も増えてきています。

① 変異株に対して幅広い免疫を期待するなら、武田のヌバキソビッド(2人用)

ヌバキソビッドは、ウイルスの「スパイク蛋白」を直接使った組換えタンパクワクチンで、免疫を強く刺激する成分(Matrix-M)が入っています。

mRNAワクチンとは異なる仕組みで免疫を誘導するため、さまざまな部分を認識する抗体が作られることが期待されます。

現在の変異株の中では、BA.3.2は従来のワクチンによる抗体が効きにくい、少し特殊な変異株です。ただし、現在のワクチンでBA.3.2に対する中和抗体が全くできないわけではなく、ある程度の交差反応が期待できます。

2026/27シーズンのXFG対応ヌバキソビッドでは、XFGだけでなく、JN.1、LP.8.1、NB.1.8.1など、複数の変異株に対する中和抗体が確認されています。

ただし、「BA.3.2に特に強いワクチン」とまでは現時点では言えません。BA.3.2は現在使われているワクチンの抗原とはかなり性質が異なるためです。

なお、ヌバキソビッドは1バイアル2人用なので、接種する場合は2人1組での来院をお願いします。

② 来年の春・夏まで抗体を長く維持したい、海外旅行を予定しているなら、明治のコスタイベ(2人用)

コスタイベは、自己増幅型mRNA(レプリコン)を使った新型コロナワクチンです。

体の中で一時的にウイルスの「スパイク蛋白」を作らせ、それを目印に免疫をつけます。通常のmRNAワクチンと比べて、少ないRNA量で効率よく抗原を産生できるよう工夫されているのが特徴です。

国内の第Ⅲ相試験では、コミナティと比較して、過去の製剤においてオミクロン株BA.4/5に対する中和抗体価が高く、3か月後、6か月後、12か月後のいずれでも高い抗体価が示されました。

特に、接種12か月後の抗体価が、コミナティ接種3か月後よりも高かったことから、抗体が比較的長く持続することが期待されています。

そのため、コスタイベは「しっかり抗体を作り、長く維持することを狙ったワクチン」と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、これらの長期データは過去の製剤によるものであり、2026/27シーズンのNB.1.8.1対応製剤について1年間の抗体持続性が確認されているわけではありません。

なお、コスタイベも1バイアル2人用なので、接種する場合は2人1組での来院をお願いします。

③ 1人で来院するなら、第一三共のダイチロナ

ダイチロナは、日本で開発されたmRNAタイプの新型コロナワクチンです。

2026/27シーズンの製剤はオミクロン株NB.1.8.1に対応しており、日本を含む西太平洋地域で重要な流行株に合わせたワクチンです。

コスタイベと同じmRNAワクチンですが、製造方法やmRNAを運ぶ仕組みなどが異なります。

また、NB.1.8.1由来RBDを使用した製剤では、NB.1.8.1だけでなくXFGに対する中和活性も確認されています。

そのため、「現在流行しているNB.1.8.1に対応したワクチンを、1人で接種したい」という方には分かりやすい選択肢になります。

④ 0.2 mLと接種量が少なく、長期の抗体持続性にも期待するなら、mNEXSPIKE(1人用)

mNEXSPIKE(エムネクススパイク)は、従来のスパイクバックスをさらに発展させた次世代のmRNAワクチンです。

2026/27シーズンはXFG対応です。

私が注目している特徴の一つが、接種量が0.2 mLと少ないことです。しかも1人用なので、2人での来院が必要なヌバキソビッドやコスタイベとは違い、1人で接種できます。

さらに、海外第Ⅱ相P201試験では、接種後29日、91日、181日、366日に中和抗体価が測定されており、BA.1に対するGMTは、29日後3,520、181日後1,923、366日後1,982でした。

つまり、6か月後から1年後にかけてBA.1に対する中和抗体価がほぼ維持されています。

もちろん、これはBA.1に対するデータであり、現在流行しているXFG、NB.1.8.1、BA.3.2に対して1年間同程度の中和活性が維持されることを直接示したものではありません。

ただ、XFG対応であることに加えて、0.2 mLという少ない接種量、1人用であること、そしてこのような長期の免疫原性データがあることから、私はコミナティより一つ上に評価しています。

⑤ 従来から使い慣れたmRNAワクチンを選ぶなら、ファイザーのコミナティ(1人用)

コミナティはファイザーのmRNAワクチンです。

2026/27シーズンはXFG対応です。

これまでの使用経験が非常に豊富で、XFG対応ですが、NB.1.8.1などJN.1系統の変異株に対する交差活性もあります。

これまでコミナティを接種していて特に副反応に問題がなかった方、従来から使い慣れているワクチンを希望する方には、引き続き選択肢になります。

コミナティも1人用です。

どのワクチンも感染を完全に防ぐことを目的とするものではなく、感染した場合の重症化を防ぐことが主な目的です。