日本脳炎の予防接種
最近、日本脳炎の予防接種について、よく質問をうけるので現状を説明します。
Wikipediaより一部引用します。ワクチン接種と急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の因果関係が否定できない事例が認められた為、現行のマウス脳由来ワクチンを2005年時点で開発途上であった、より安全性が高いと考えられたvero細胞由来ワクチンへの切替を見越し、2005年5月30日付で厚生労働省健康局結核感染症課長が「現行のワクチンでの積極的推奨の差し控えの勧告」を各都道府県に通知し、この通知により一部の市町村が自主的に接種を一時中止しました。
当初、翌年には新ワクチンが発売されるはずだったのですが、治験段階で問題が発生し、2009年の春頃になるのではないかといわれています。2005年までは16歳未満の日本脳炎発症はほとんどなかったのですが、2006年以降、16歳未満の日本脳炎の確定例及び疑い例が複数報告されています。2年前に国立感染症研究所の研究員と化血研の研究員のセミナーに参加しました。両者とも同じような結論だったので、要旨を紹介します。
「日本脳炎ワクチン接種が他のワクチンと比べて、有意にADEMを発症させているわけではない。なぜならば、日本脳炎ワクチン接種者のADEM発症率は1~2/400万ぐらいで、他のウィルス疾患での発症率と有意差はない。また、西日本のブタの日本脳炎ウィルス保有率はかなり高いので、厚生労働省の指針に反するが、ワクチン接種を勧奨した方がいい。」とのことでした。
当医院ではこのような説明をしていますが、日本脳炎ワクチンは製造中止となっており、接種希望があっても卸業者にも在庫がないようです。ただ、東日本に日本脳炎の発症例が報告されたため、国は最近になって、メーカーに旧ワクチンの製造を指示しました。2008年11月に再発売される予定です。また、2009年春には新ワクチンが発売予定であり、恐らく、特例措置で公費の年齢条項が撤廃されるのではないかと考えています。