輸入狂犬病ワクチンの新しい接種の仕方
2018年のトピックとしては、狂犬病ワクチンに対して、新しいWHO Position Paperが発表されたことです。2017年11月に答申が報告され、国内のトラベルクリニックでは衝撃を受けました。
1)国産狂犬病ワクチン
このワクチンの問題点は、接種完了まで6カ月もかかってしまうという事です。渡航ワクチン接種に来られる方は、1か月前が多く、6カ月も前から相談に来る方は希です。よって、2回接種で渡航される方が多いのですが、2回接種後3カ月(初回接種後3カ月)では、半分の方が抗体がほぼゼロになってしまいます。そのため、海外でイヌに噛まれた場合、海外の医療機関では、ワクチンを接種していない方と同様と判断され、曝露後接種を行われることになります。高額なワクチンを接種したにもかかわらず、無駄ということになります。
2)輸入狂犬病ワクチン
上記のことを理解している多くのトラベルクリニックでは国産狂犬病ワクチンを曝露前予防接種には使用しません。保険適応の関係で、曝露後発症予防のみに使用します。曝露前予防接種としては、輸入ワクチン3回接種を行っていました。それでも3週間(0日、7日、21日)かかっていましたが、今回の変更で1週間で終了できることになりました。初日に1回接種するだけで、99.5~100%の人に十分な抗体価が約束され、1年間免疫反応が持続すると言われています。
今後は、狂犬病流行地域に渡航する前に2回接種し、滞在が1年以上になれば、追加接種1回、その後5年おきに追加接種をする。短期間滞在の場合は、最初に2回接種をしていれば、その後は、渡航直前に追加接種1回で大丈夫ということになります。