輸入麻疹風疹おたふくかぜ(MMR)ワクチンの効果はどうでしょうか?
米国では1971年にMMRワクチンが承認され、定期接種に導入されました。現在では、単独ワクチンを接種することはほとんどありません。2013年のBrian H. Shirts らの報告では、2011年2月1日から2012年1月31日までの159,257人からのサンプルを集計ししたところ、統計処理後の抗体陽性率は、麻疹89.4%、風疹93.4%、おたふくかぜ80.5%でした。
Clin Vaccine Immunol. 2013 Mar; 20(3): 443–445. doi: 10.1128/CVI.00503-12
国立感染症研究所の2016年の報告では、麻疹のPA抗体価1:16以上の抗体保有率は, 昨年度の調査に続き2歳以上のすべての年齢/年齢群で95%以上を示した。また, 麻疹あるいは修飾麻疹の発症予防の目安とされるPA抗体価1:128以上についてみると, 2歳以上ではほとんどの年齢/年齢群で80%以上の抗体保有率であった。
次に風疹のHI抗体価1:8以上の抗体保有率についてみると, 2歳以上30代前半までは男女とも同様の傾向を示し, ほとんどの年齢/年齢群で90%以上であった。また, 2012~2014年度の調査でみられた30~50代の年齢層における大きな男女差は本年度調査でも認められ, 30代後半から50代前半の抗体保有率は女性で97%と高かったが, 男性では約20ポイント低い78%であった。
米国と日本の抗体価保有率を比較すると、検査方法とカットオフ値が異なるので、直接比較は難しいですが、米国に軍配があがりそうです。これは、米国では就学前に、MMRワクチン2回接種が義務化されているためかもしれません。
2014年のJeevan Malaiyanらの報告では、2011年2月から2012年12月まで103名のサンプルを集計しています。MMRワクチン1回接種でも2回接種でも、2-5歳、 6-12歳、13-18歳及び 19-25 歳の全ての年齢層合計 103名が風疹抗体価は100%陽性でした。麻疹抗体価は1回接種だけでは十分な抗体価がある人は76%に過ぎませんが、2回接種では92%に達しています。ちなみに、おたふくかぜの抗体価は低く、1回接種で49%、2回接種で83%です。
Indian J. Med. Res. 2014 Jun; 139(6): 949–951.
名鉄病院予防接種センターの宮津光伸センター長の報告を換算すると、MRワクチン接種1回目の麻疹抗体陽転率は83.1%、風疹抗体陽転率は92.7%です。
MRワクチンは国産ですが、予防接種後進国の日本では、品川区の抗体検査や名鉄病院などの限られたデーターしかありません。一方、海外では米国CDCが承認したMMRワクチンを使用しているため、両者を比較して研究報告はありません。MRワクチンは国産ですが、予防接種後進国の日本では、品川区の抗体検査や名鉄病院などの限られたデーターしかありません。一方、海外では米国CDCが承認したMMRワクチンを使用しているため、両者を比較して研究報告はありません。
しかし、この2つのデーターの抗体陽転率を比較すると、麻疹抗体陽転率ではMRワクチンに軍配が上がりますが、風疹抗体陽転率ではMMRワクチンに軍配が上がります。ただ、おたふくかぜワクチンも含まれていることを考えると、MMRワクチンには敵いません。