大阪府で麻疹がこんなに流行しているのか?

当初幾つかの仮説を考えました。
①厚生労働省HPや報道のように、海外と比べ、単に2回接種率が少ないからでしょうか?
②日本は国産のMRワクチンですが、日本以外では、米国CDC承認のMMRワクチンを使用します。中国や韓国もそうです。国産のMRワクチンの力価がMMRワクチンより弱いのか
③2012年米国のABCニュースでも問題になったように、日本でも多くの医療機関が家庭用冷蔵庫でワクチンを保管しているためなのか?

まず、①について、米国のように、MMRワクチン2回接種が就学時に義務づけられていない限り、接種率の上昇は、医師及び学校、自治体などによる保護者教育に頼るしかありません。

②については、前回の投稿にも記載したように、必ずしも、MRワクチンはMMRワクチンより劣っているとも言えません。

③については、医療界のタブーともいえる問題点があります。ワクチンの保管温度には厳密な規定があります。

生ワクチンは、温度と使用期限が極めて厳しく設定されており、摂氏1~5℃の範囲が推奨されています。これ以下でも以上でもワクチン中のウイルスは失活していきます。通常の冷凍庫付き家庭用冷蔵庫では、自動霜取り機能の際、この温度を大きく越えてしまう事があため、ワクチンが失活しやすいようです。

この傍証として、品川区のある小児科医院で、MR、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンの3種を混合した接種や、四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)ワクチンとヒブワクチンを混合した接種した事件がありました。

その後、抗体検査を実施したところ、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜの抗体価がかなり低い児童がいることがわかりました。 具体的には、麻疹抗体価が十分ある児童は74.8%、風疹は68.5%、水痘は52.5%、おたふくかぜは57%にしかすぎません。

一見すると、ワクチンを混合したから、力価が失活したと考えがちですが、この小児科医は接種直前に混合しているので、混合が原因ではないのではないか?という、専門家の意見もありました。この小児科医院もワクチンを家庭用冷蔵庫で保管していたことが判明しています。国産MRワクチンの力価に問題なくても、製造メーカーから薬卸会社、薬卸会社から医療機関、医療機関の冷蔵庫での保管中での力価の低下が原因の可能性は否定できません。