B型肝炎ワクチンの品薄問題について
現在、日本全国で、国内承認B型肝炎ワクチンが品薄状態になっています。
国内承認のB型肝炎ワクチンには、ビームゲンとヘプタバックスがあります。
化学及血清療法研究所化(化血研)が国の承認と異なる方法でワクチン製剤等を製造販売し、その事実を組織的に隠ぺいしていた問題で、厚生労働省が、医薬品医療機器法に基づき、2016年から1月18日~5月6日まで、110日間の業務停止命令(行政処分)が行われていました。旧ミドリ十字の時代から、不正が相次いでいたこともあり、多くの医療機関が化血研製造のワクチン購入を忌避していたため、最近では、ヘプタバックスがB型肝炎ワクチンのシェアの97%を占めていました。
ところが、MSDは2019年4月8日、定期接種に用いられるB型肝炎ワクチン・ヘプタバックスの水性懸濁性シリンジについて、製造を中止していることを明らかにしました。このヘプタバックスは国内承認ですが、製造元は米国メルク社で、本来は輸入されたワクチンです。
メルク社は、「原液の製造過程で、所定の規格を満たせない事象が断続的に発生した。」と説明し、詳細は明らかにしていません。米国メルク社が全てを生産しており、現在日本以外の国でも供給できない状況となっています。製造を再開し、国内供給を再開できる時期は早くても2020年半ば以降で、現在の出荷量のままだと、0.25mLは2020年1月以降、0.5mLは2019年10月以降に卸に対して供給できなくなる見通しとなっています。
このことを受け、厚生労働省の指導により、現在、化血研がビームゲンを増産していますが、年内はまだまだ品薄状態が続きます。また、増産されたビームゲンは公費ワクチン対象者(1歳未満)に優先してまわされているため、医療関係者や海外留学の方には後回しになっています。