フルミストに振り回された医療機関
みなさん、今回のフルミスト騒動の責任はどこにあると思いますか?
もちろん、発端は北米でのフルミストの生産過程の問題です。また、米国アストラゼネカ社の最終発表は10月14日まで遅れました。
FiercePharma 10月14日付 より要約:
■ WHO推奨のワクチン株のうち、A/H1N1、 A/H3N2の生産量が低い
■ メーカーでは大量生産が難しい状況にあり、昨年の3分の1の生産量に留まっている(数量にして758,000ドーズ)
複数の輸入卸からの情報:
■ 米国内で供給が開始されたが、公立医療機関、学校が優先されている
■ 民間・私立医療機関には、現在ほぼ供給されていない
■ カナダ国内では本年の流通は取り止めとなっている
しかし、少なくとも2019年6月の時点で、輸入卸元はこの問題は想定内であったはずです。
というのは、当院の輸入卸A社によると、「北米で、インフルエンザワクチンの株の選定に失敗したらしく、やり直しているようです。カナダはインフルエンザシーズンに間に合わないと判断し、今年は諦めたようです。米国はやり直しているようですが、納期が11月下旬以降になる可能性があり、当社は静観しています。納品ができるようになった段階で、ご連絡します。」
B社は、「今シーズンは北米でインフルエンザワクチン製造過程でトラブルがあり、納品数が見込めない可能性があったので、昨年、フルミストを納品した医療機関にしか連絡していません。既に、申し込み期限を過ぎており、今は受付できません。」
B社を含めて多くの輸入卸元は、納品数が確約できない状態であるにもかかわらず、利益優先で見切り発車をして受注しました。多くの輸入卸元の受注総数は推定1~5万本だったようです。結局納品予定数が100~1000本に満たないことがはっきりしたのが、10月上旬です。10月になるまで日本の医療機関に情報を伏せていた輸入卸元の責任は免れないと思います。
当院が依頼したA社以外の輸入卸元は全滅で、一旦、受注をキャンセルしました。卸によっては、その上で、確保できた納品数について再度予約を受け付け、再配分するみたいです。