狂犬病について

狂犬病の発生状況
日本、英国、スカンジナビア半島の国々などの一部の地域を除いて世界中に存在します。特にインド・ネパール・東南アジア諸国・中南米諸国・アフリカ諸国へ旅行される方。 WHO「狂犬病」マップ
厚生労働省「狂犬病」マップ

狂犬病ワクチン接種をお勧めする方
哺乳動物の研究・捕獲。動物と直接接触する機会が多くなる長期滞在予定の方。
都市部から遠く離れ、緊急対応ができない地方部に滞在する方。 感染した哺乳動物の唾液や分泌物の中に狂犬病ウイルスはいます(bite or scratch)。
海外では繋がれていない犬や猫にご注意下さい。
奥地、秘境、洞窟探検などの冒険旅行が目的の方は接種をお勧めします。

狂犬病の感染原因と症状
【感染】
感染した動物に咬まれることで感染します。唾液のついた爪で引っ掻かれても感染の危険があります。狂犬病を発症すると現在の医学では治療法がなく、ほぼ100%が死亡する怖い病気です。 【症状】
狂犬病のウイルスに感染した犬、猫、キツネ、アライグマ、コウモリ、スカンクなどの哺乳類動物に接触することで感染します。アメリカ - アライグマ・コウモリ、ヨーロッパ - キツネ、アフリカ - ジャッカルやマングースが有名。潜伏期間は通常20~60日程度です。発病するかどうかは咬まれた傷口の位置、大きさやウイルスの量で大きく変わります。主な症状は、発熱、頭痛、全身の倦怠感、嘔吐、噛まれた傷口が傷む、液体を飲むと痙攣を起こす、落ち着きのなさ、興奮しやすい、筋肉の痙攣など。狂犬病にかかった犬の症状は、一般的に狂躁時と麻痺時に分けられますので、おとなしいからといって安全とは限りません。

狂犬病ワクチン
【国内承認 狂犬病ワクチン ラビピュール】

2018年12月のWHOのポジショニングペーパーでは2回接種にて、狂犬病の感染防御は3回接種と同等とされています。しかし、日本国内の臨床治験は3回接種にて行われています。

【輸入 狂犬病ワクチン Verorab】
2回接種、筋肉注射
接種方法 : 初回、7日後
追加接種は1年後
*対象年齢:生後6カ月以上
*長期の免疫維持を必要とする方は、基礎接種の2回接種後、1年後に1回追加接種をすると5年間の免疫維持します。(ハイリスク者は2年毎の追加接種又は抗体検査)

*WHOでは、一般旅行者には追加接種は不要とされていますが、不安な人は1年後に追加接種、5年ごとに、再追加接種をしてください。


(備考)輸入狂犬病ワクチンについて、2018年のWHO Position Paperでは、新しい方針が発表されました。曝露前(PrEP)予防接種において、0日、7日の2回接種で十分とされ、免疫不全がある場合のみ、21日目の3回接種が必要となっています。


曝露後発病予防について

1.(2018年WHOが修正した方法):0日、3日、7日、14日~21日の計4回。

2.  ラビピュールの場合

①4回接種法:0日に接種部位を変えて2ヵ所に1回ずつ、その後7、21日に計4回。

②5回接種法:0日、3日、7日、14日、28日後に計5回。

③6回接種法:0日、3日、7日、14日、30日、90日後に計6回。

曝露後発病予防についてですが、国産狂犬病ワクチン接種でないと、健康保険扱いになりません。但し、国産ワクチンの生産量は極めて少なく、海外での日本人の狂犬病発生が報告されると、接種希望者が増え、手に入らない事態が毎年のように起こっています。その場合、海外からの輸入ワクチンを接種せざるを得ません。高山らが、「海外で狂犬病ワクチンを接種し、帰国後国産ワクチンを接種した場合と全て国産ワクチンを接種した場合には、抗体価に有意な差はなかった。」と報告しています(感染症学雑誌2002;76 : 882-887)。